『路地裏エクスプローラー』 ライナーノーツ①(アルバム発売の経緯)
大盛況でした。
ご無沙汰しております。ゆにかーるです。
twitterでめちゃくちゃツイートしているので多くの方はご存じだと思いますが、『路地裏エクスプローラー』というアルバムを発売しました。
(通販やってるのでぜひ買ってください)
おかげ様で大盛況でした。本来予想していた売上の倍以上が売れ、M3当日は完売するんじゃないかとヒヤヒヤしていました(あと2部だけ残った)。
当記事では、アルバム制作の経緯と作りながら思ったことについて書きます。
各曲解説はまた別記事に回す予定です。長いので。
なんでこんなに空いたの?
前の渋谷系フルアルバムからは4年、
前作からは3年が経過してしまいました。uni-c.booth.pm
渋谷系サウンドに関しては、実際『山の手デイブレイク』の時点で「やりきった感」があり、一言でいえば「ネタ切れ」でした。
あと、『山の手デイブレイク』以前の曲が中田ヤスタカの影響を受けすぎていた中で、なんとか新しい表現を模索しようとしていた時期でもありました。
その間、私は「カワイイ」コンピレーションアルバムを作ったり、
戯れにエレクトロハウスを作ってみてました。
ただ、個人アルバムについては、フルアルバムを作ろうとしては失敗する、というのが続きました。実はSEASONS EPも6曲入りにする予定でした。
その理由として、学業や他のサークルが忙しかったのもありますが、やりたい音楽ジャンルが定まってなかったというのは大きかったと思います。
実際、山の手デイブレイク以後から2020年ぐらいまでの作品はジャンルがブレブレでした。ジャンルに統一性がない中で、「作りたいアルバム像」もなかなか固まらなかったというのが、ここまで完成が延びた原因だと考えています。
なんで作ろうと思ったの?
大きなきっかけは、2019年12月に行ったCY8ERフェスに出ていたTomgggさんのDJで、GREENGUMを聴いたことです。
この曲を聴くやいなや、「踊れるボサノバが存在するのか」と衝撃を受けました。
capsuleをはじめ、渋谷系をよく聴いていたので、ボサノバというジャンルには親しみがありました(『山の手デイブレイク』でも一曲作っていた)。
その一方で、音ゲーが好きだったりしたことから、クラブミュージックも作り続けていました。
ただ、ボサノバとクラブミュージックが交わるとはあまり考えておらず、いざ曲として示されて初めて、ドチャクソ好みであることに気付かされてしまったわけです。
この時点で、「新しいアルバムの軸は『踊れるボサノバ』にしよう」というのが決まりました。
またそれとは別に、tomgggさんの優しい音像が、クラブミュージックを聴き疲れた私にドハマりし、その系統にも深く傾倒していくようになります。
初めてそういう曲を書いたのが2020年の6月。この曲は『路地裏エクスプローラー』に収録されています。練習のつもりで書いた曲でしたが、アルバムの雰囲気に完全に合致していたので収録しました。
そして、大きな転機がもう一つ。
初めてのソロ曲やったよ🎉 https://t.co/xaan0LJFGY
— 雲野ぼん (@kumonobon) 2020年8月22日
知り合いでアイドルをやっている、元(この頃は現)回せ!グルーヴ開発部の雲野ぼんさんに、
「渋谷系(正確には『Shibuya Underground』(『山の手デイブレイク』収録)みたいな曲)を書いてくれ」
という依頼を受けました。
しばらく渋谷系は書いておらず不安が大きかったのですが、頼まれたならやるしかないので思い切って書いてみたところ、
めちゃくちゃ楽しかったんです。
その勢いで『山の手デイブレイク』以前にボーカルを務めてもらっていたchrさんに声をかけ、どうにかして作ったのが、
『Sepia Breeze』です。
山の手デイブレイクから2年半、いろいろな曲を作ってみましたが巡り巡ってここに辿り着いたなという感じがする
— ゆにかーる@春M3 F-18b (@unicurl2000) 2020年10月19日
Sepia Breeze(秋M3で出した曲)めっちゃいいな、と思いながら午前3時に聴いている
— ゆにかーる@春M3 F-18b (@unicurl2000) 2021年1月8日
※今でもめっちゃいい曲だと思ってます
この曲を完成させたことでアルバム制作のモチベーションが高まり、構想が一気に進みました。
その後、2021春M3は就活と重なり、秋M3に出すぐらいならキリ良く修論提出後にしよう、などと考えていたら、結局2022年春になったという次第です。
前作から大きく変わったこと
ジャンル
先ほど語った通りです。
Tomgggさんの影響でLo-fiなkawaii系の曲を作るようになり、気付いたらアルバム全部がそんな感じになっていました。
あと、サブスクで色々なアーティストの曲を聴くようになったことで、「近いジャンルだけどそれぞれ個性がある」という曲を作れるようになった気がします。
めっちゃTomgggさん聴いてたらそれに似たアーティストがサジェストされて助かりました。
作曲に対するスタンス
『山の手デイブレイク』の頃は、若くてギラギラしていたので、
「このアルバムで世間にオレを売り込むぞ・・・!」
ぐらいの心意気でいました。
そのため、自分が作れる技術は全てつぎ込み、色々なジャンルを揃えることを優先していました。それに合わせて、良い感じにchrさんに歌を入れてもらう、というプロセスを取っていました。
一方で、『路地裏エクスプローラー』ではchrさんの歌声に合うような曲を最初から考えるようにしました。
私はいつも脳内で曲を組み立ててからそれをDAW上で再現するやり方で曲を作っているのですが、今作のほとんどの曲では「脳内で既にchrさんの歌声が鳴っている」ようにし、曲調や楽器選定も最初から歌声とのバランスを取りました。
結果、曲の持つ世界観がより浮き彫りになったと思います。前作と比べても「ボーカルの歌声が良い」という感想が増えたので、皆さんにその点が伝わったのが非常に嬉しいです。
それにしても、lo-fiな音とchrさんの声って合うんですよね・・・
独特な声質なので、chrさんの声を入れるだけでサウンドが「「「それ」」」になり、多少ジャンルがブレてもアルバムの軸が生まれるのがいいなあと思っています。
私以外が作詞をしている
ボーカルのchrさんが書いてくれた記事も参照していただきたいです。
最後の段落見れば大体このアルバムで伝えたいことは分かると思います。彼女は本当に言語化が上手い。
研究が一段落した2月の時点であと3曲ボーカル曲を書きたいのに、一曲も完成していない。元々作詞は得意じゃないのに、なおさら歌詞が全然出てこない・・・という状況で頭を抱え、chrさん(元文芸部)に思い切って歌詞の相談をしてみました。
最初は「ちょっと相談に乗ってもらおうかなあ」ぐらいに思っていたのですが、なんと、
歌詞のアイデアを書いた付箋を100枚以上頂いてしまいました。
結局、3曲の作詞がたった2日で終わってしまい、だいぶすんなり完成に漕ぎ着けることができました。
こんなものを貰っておいて私一人で作詞したとは到底言えないので、協力してもらった曲は作詞が共作になっています。
曲のラフを作っている段階は漠然とした世界観しか思い浮かんでなかったのですが、このように様々なアイデアを貰うことによって、その中身がかなり充実したように思います。
値段が上がった
前作までは1000円だったのに対し、今作は1500円にしました。思い切りました。
理由は2つあって、
①単純に製作費が上がった
②安売りする必要がないと感じた
というところです。
同人CDを作ったことがある人なら分かると思うのですが、大抵の場合一番お金がかかるのがジャケット周りです。
山の手デイブレイクや、その他サークルで頼んでいたジャケットはほぼ外注でした。正直に打ち明けると、お互い学生だからということでかなり安く頼んでいました(申し訳ございません)。
しかし、今作のリリース時は社会人になるのに、そんな安く頼むわけにはいかないだろう、ということでジャケットの依頼料を上げました。
(それ以外にも転居に伴ってスタジオ代が上がったりなどしています)
したがって、(今までの売り上げでは)1000円で売ろうとするとほぼ赤字になってしまいます。
ただ、「頑張ってもどうせ赤字」となるとプロモーションのモチベが上がらない。そのため、ギリ赤字ぐらいにするために、1500円にさせていただきました。
(値段設定はともかく、何枚売るという目標を事前に立てておくのはめちゃ大事です)
正直1500円で売れるかだいぶ不安で、かなり直前まで迷いました。それでも、完成したクロスフェードを聴いて、思った以上に完成度が高く、
「これなら自信を持って1500円で出せる」
という確信が持てるようになり、1500円に決定しました。
結果、売上金額のみならず、売上枚数でも過去最高を更新することができました。アルバム単体でも黒字になり、「頑張って動画とか作ってよかった・・・!」と思っています。
※機材とか音源とかまで含めるとさすがに赤字です。
今後は売上見込み枚数を増やして予算を組みますが、曲数が極端に減らない限り1500円で行こうと思います。その代わり、ジャケットの依頼料をさらに上げる予定です。
まとめ
本記事では、経緯とか本作で挑戦したこととかを書きました。
曲別のコメントや、アルバム全体(特に歌詞面)で書こうとしていたことに関しては、別記事に分けます。
近日中に公開するので、お待ちいただけると!
ではでは。